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時の流れ

あたり前だけど時間が過ぎると言うことは人間なら年齢を重ねていく。
樹木なら種から木になりやがて実をつける。

街も徐々に変化していくけど、そこにいるとわからずに通り過ぎてしまうこともある。

私の店は渋谷区のある商店街の一角に40年ほど前に出来た。
夫婦で夜遅くまで働いて頭金を貯めて、一大決心で10坪程の木造中古の店を買ってクリーニング屋さんにしたと昔聞いたことがある。

昭和43年頃のこの商店街は渋谷区と言っても道はまだ砂利道で車が通るとほこりが舞っていたことを今でも覚えている。

その時代から環境整備は急速に早まり舗装道路や下水道も良くなってきた。

商店街と言う響きは私の年齢だととても華やかで活気があり、いつも小さなお祭りをしているみたいに大きな売り声があった。

配役を考えれば、さしずめ魚屋さん、八百屋さん、総菜屋さんが盛り上げ役。

この商店街にはちょっと変わったお店もあった。

有名な和菓子屋さん、三味線屋さん、和服屋さん、小粋な役者さんみたいだ。

酒屋さんには立ち飲みコーナーがあり、いつも数人のお客さんがいて親父の酒を買いに行くとそこにいた。

知っている人がいると良い気持ちになって『お手伝いか、偉いな』といってジュースを買ってもらったこともある。

またかなり遅くまで店を開けていた気がする。

今はコンビニやチェーン店なら24時間も当たり前だけど、その当時は街灯も少ないし横道に入ると怖いくらい暗い。

だから商店街は9時くらいまで開けている店が多く、仕事帰りの人には助かっていたと思うし、帰りしなに挨拶の声が行きかうのもなんか楽しかった。

その商店街も今は半分くらいしかお店はなくなってしまい寂しさを感じる。

別に地域改造とかではなく後継者がいないことや大店舗スーパーが近くに出来れば客足は遠のいてしまうのはしょうがない。

何年かに一軒づつ『またお店閉めるみたいだ』と耳に入る。

もちろん我店も順風満帆で間違いないなんていえないし、どちらかと言えば次は我店かと思えることも合った。

そして先日斜め前の御茶屋さんが閉店し今日解体工事が始まった。

買い手がついたとの事、また一軒なくなってしまった。

そしてその工事を少し見ていると近くの電気屋さんの二代目が話しかけてきた。

私より少ししたで、子供の頃からここに住んでいる。

ポツリと『私は良くこのお店でアイスキャンディーを買ったんです』と言葉にする。
そのお茶さんは、夏だけアイスキャンディーを売っていた。

私も買ったこともある。

私は『この店の前を通るのが好きだったな、時々お茶を炒るような機械から出る香りがとても好きだった』
昔は御茶屋さんにはお茶を炒るというか、いぶすと言うか香りの出る機械があった。

新茶が入ると振舞っていた。

そんな言葉を懐かしげに二人がしていると、そこの工事の警備しているおじさんが掃除をしながら『時代が変わっていきますね』としみじみいう。

そんなに懐かしく良いと思っていても、日々の生活にすごく必要かといわれてしまうとやはり合理性や金銭面とかで段々淘汰されていってしまう。

江戸時代の100年と今の時代の100年では変化の事柄があまりに違いすぎる気がする。

私はこの町が好きだから出来るだけここに居たいなと、なんかそのお茶さんを見て感じた。


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